大リーガーの平均年俸の10分の1


 大統領の年俸は20万ドルである。我々一般人からするとけっこう多いように思える。しかし、年俸20万ドルというのは大リーガーの平均年俸の10分の1にも満たない。現在、アメリカ大統領は世界で最も権力を持つ官職だからそれではいかにも少ない。しかも、大統領の年俸は1969年以来据え置きのままになっている。年俸の他には経費として年間5万ドル、旅費として10万ドル、おまけにお小遣いが1万2千ドルまで認められている。
 ただ大統領には様々な特典が用意されている。まず評価額3億ドル以上のホワイトハウスに住むことができる。ホワイトハウスには132部屋あり、温水プール、ジム、ボーリング場、映写室、図書室、医療室、歯科治療室、理髪室と何でもそろっている。約100名近くの専属スタッフがいて、かれらの給料だけで年間300万ドル以上にのぼる。それにチェスター・A・アーサーが言ったように「こんな家には住みたくない」と思えば改造も思いのままである。もっとも現代のホワイトハウスには年間150万人以上の観光客が訪れるので、本当にプライベートな区域はごく一部に限られている。
 さらに専用リムジン、専用ヘリコプター「マリーン・ワン」、専用ジェット機「エア・フォース・ワン」も準備されている。エア・フォース・ワンでは、映画、テレビ、音楽といろいろ楽しめるが、「エア・フォース・ワンに搭乗」と印字されたカードで遊ぶこともできる。総経費は年間で2億ドル近くかかる。ジョージ・H・W・ブッシュがブロッコリはメニューから外せと指示したように料理の細かい指定さえできる。
 これだけ至れり尽くせりであれば、大統領はさぞかし懸命に働いているに違いない。実はそうとも限らない。第23代大統領ベンジャミン・ハリソンは、朝9時に執務を始め、お昼頃には執務を終わらせていた。実質労働時間は2、3時間である。第30代大統領カルヴィン・クーリッジは1日の平均睡眠時間がなんと11時間だったそうだから、あまり働いていなかったはずだ。ジョン・F・ケネディも朝7時から働いてはいたとはいえ、午後は昼食を取った後、水泳をし、お昼寝をして午後遅くになってようやく執務に戻ったというからそこまで長時間は働いていなかったかもしれない。
 しかし、反対に働き過ぎた大統領もいる。第11代大統領ジェームズ・K・ポークだ。ポークは若い頃から浮いた噂もなければ趣味もない政治一筋の人間だった。大統領になったポークは夏休みもとらず毎日毎日12時間から14時間も働き続けた。ポークは任期終了後4か月も経たないうちに病死した。一説によると過労が原因だという。それだけ一生懸命に働き、数多くの業績をあげたのにポークの知名度はぱっとしない。少し気の毒のような気がする。

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