シークレット・サービスのお仕事


 大統領が行く所にはどこにでも付いて行く黒いスーツの人々を一度はテレビで見かけたことがあるだろう。彼らはハリウッド映画でもお馴染みのシークレット・サービスである。
シークレット・サービスを創設したのはリンカーンである。リンカーンがシークレット・サービスを創設した目的は、身辺警護ではなく、当時、流行していた通貨偽造を取り締まるのが目的だった。今でもシークレット・サービスは通貨偽造の取り締まりを行っている。さらにクレジット・カードやコンピューター詐欺の取り締まりも行っている。
 シークレット・サービスが現在のように大統領の身辺警護を行うようになったのは、20世紀に入ってからで、最初は僅か2人が警護するに過ぎなかった。時代が下るにつれ、シークレット・サービスの警護対象は拡大され、大統領のみならず、その家族や副大統領、大統領当選候補、主要な大統領候補など多岐にわたる。
 シークレット・サービスの職員は3万6千人にものぼるが、そのうち映画などでお馴染みのスペシャル・エージェントは1,800人ほどに過ぎず、そのうち大統領警護を担当できるのは100名程度にとどまる。彼らは左襟に特別なピンを付けているのでそれと分かる。スペシャル・エージェントになる訓練を受けるためには身体能力試験と信用調査に合格しなければならない。射撃、格闘技、操車、救急医療、犯罪心理など様々な技術を習得し、ようやくスペシャル・エージェントになることができる。
 シークレット・サービスは隠しカメラとセンサーで24時間ホワイトハウスの監視を行っている。毒ガスによる攻撃がないか空気のチェックを行うだけではなく、水中の毒物検知するシステムや放射能を計測するガイガーカウンターまで駆使している。またホワイトハウスの見物客に不審な人物がいないかどうか、シークレット・サービスは見物客に混じって監視している。他には、ホワイトハウスの植物を食い荒すリスの捕獲に協力したこともある。
 大統領が外出する時はシークレット・サービスによってまさに鉄壁の防御がしかれる。暖かい日にコートを着用している者や不自然に新聞を手に持っている者など疑わしい行動を取る者をシークレット・サービスは監視している。もちろん大統領の訪問先は事前に徹底的にチェックされている。屋外で大統領が演説する場合やパレードする場合は、スナイパーが随所に配置される。
 これだけの警備をしてもケネディ暗殺は防止できなかったが、1963年以降、フォード大統領に対して2回、レーガン大統領に対して1回、暗殺者の銃口が向けられたが、いずれも失敗している。大統領の安全は、シークレット・サービスの日夜を問わない献身が必要なのである。

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