演説


第4次一般教書(1844.12.3)より抜粋 原文
 私の最後の一般教書に際して、平明かつ明らかな言葉で、人間性を裏切る状況を伴い、サン・ジャシントの戦いが完全な侵略となって以来、メキシコとテキサスの間で続いている戦争に関する意見を議会に知らせることは私の義務だと思います。8年間にわたるテキサスを再征服しようとする無駄な試みの後で、今こそ戦争を終えるべき時だと先に言ったことをまたここで繰り返します。合衆国はこの問題について直接的な利害関係を持っています。両国が我々の領土に境を接していることはよく分かっているので我々の平和に影響を与えさせるわけにはいきません。我々への不法な疑いが、交戦国の一方、もしくはもう一方に生じ、その必然的な結果として、アメリカの国益が被害を受け、我々の平和は日々危険にさらされています。さらに戦争が生み出す荒廃によって、メキシコとテキサスの両国が、我が国の仲介を経ていない他国の干渉に屈していることはすべての者に明らかなことです。こうしたことは最終的に合衆国にとって最も深刻な害となるかもしれません。時折、我が政府は戦闘行為の終結をもたらすために、両交戦国に同様に名誉ある条件で和平斡旋を行いました。こうした信念に基づく試みは全く無駄であることが分かりました。メキシコには戦争を続行する目的がほとんどないように思えるので、テキサスのよく知られた意向に便乗して、合衆国にテキサスを併合する条約を締結するようにテキサスに勧める他、選択肢は行政府に残されていません。
議会の先の会期以来、メキシコは戦争を続行すると警告し、テキサスを侵略するための恐るべき準備を行っています。メキシコは、戦闘開始に備えて命令や布告を出していますが、それは人間性を裏切る脅威に満ちていて、もしそれが実行に移されればすべてのキリスト教国の関心を呼び覚ますでしょう。こうした新たな感情の発露は、信じるに足る理由がたくさんありますが、先だってのテキサス併合条約交渉の結果、生み出されています。したがって行政府は、その推移に無関心ではいられませんし、この問題に関してメキシコ政府に対して強い意思表示をすることが、我が国にとって当然であり名誉あることであると感じられます。国務長官からメキシコへの使節団に宛てた添付文書に見られるように、これは然るべく行われています。メキシコには、これ以上、無用で実を結ばない争いを駆り立てることによって世界の平和を脅かす権利はありません。そうした状況はヨーロッパ大陸では容認されないでしょう。何故、こうした状況に関わるのでしょうか。メキシコが今、行おうとしているような悲惨な戦争は、我々の平和と静謐を巻き込むことなく行われることはないからです。近隣する州に住む我が国民がそうした戦争を無関心に見ていることができると信じることは無駄なことですし、我々の中立性は、我々の側の侵害を防止しようとするすべての試みにも拘らず、侵害されるでしょう。スペインとメキシコによって差し出された招待状の下、合衆国からの移民がかの国に居住しています。そうした移民は友人や親類を残してきたのです。友人や親類は移民の苦労に同情しないでしょうし、たとえ同情して彼らの戦いに参加しようとする活動がいかに活発になっても、政府はそれを阻止します。アーカンソー州とミズーリ州に隣接する広大な地域を占める多数の手強いインディアンの集団―どんな土地にでも見られる最も好戦的な集団―とテキサスの内部で広い領域を所有するインディアンは動きそうにはありません。そうした数多くの部族の性質によれば、口実が存在すればいつでも戦争が必ず起きるでしょう。
メキシコには我が政府と条約の交渉にあたる人々に対して不快を感じる正当な根拠がありません。条約によってどんなメキシコの利害が影響を受けるのでしょうか。メキシコは、テキサスが永久に失われたからといって何も奪われるわけではありません。テキサスの独立は地球上の列強によって認められています。テキサスは独自の政策を自由に採択し処理することができますし、自国の幸福を保つのに最も最適だと信じる進路を選ぶ自由があります。
テキサス政府とその人民は合衆国との合併を決定しました。そして、行政府は、その領域を併合することが彼らの幸福と栄光を増進する手段であると見なしています。どんな誠実な原理を侵害したというのでしょうか。どんな政治的道徳の原則を踏みにじったというのでしょうか。メキシコ自体に限っても、そうした方策は非常に恩恵あるものと見なされるでしょう。8(今や9)年間の実を結ばない破滅的な争いによって、メキシコがテキサスを再征服できないことは明らかだと私は繰り返します。

ジョン・タイラー大統領歴代アメリカ合衆国大統領研究