詩人の福音

緑陰の円形劇場。夜、波音が響く。多くの影が過ぎ去り、光陰は矢の如く飛び去る。

されど人々の思いは過ぎ去らず、たゆたう。

我が思いを馳せれば、さながら故人が傍らに在るが如し。

現し身は常世に在りて、宿世の縁はしがらみとなりて我が身を囚う。

大風起こりて雲飛翻す。

一度、思いを蒼天に展ぶれば、古の歌が高らかに雲上に漂う。

貴き古の詩人は劇場で越世の調べを奏で、現在此処におる我が心をも打ちてやまぬ。

数多の星霜もその調べの彩を錆びさせることはできず、如何なる力もその光を砕くことはできぬ。

それこそがまさに蒼古から伝わりし詩人の福音。