みなしご

 あてどもなく、雨の中を
 素足でもうお腹が空いているのがわからなくなってしまうくらい飢えに襲われながら
 暖炉の火も知らず
 いたわりの言葉さえもかけられたこともなく
 何も確かなものを持つことも無く漂っていただけの私

 あなたはそんな私を見つけてくれた
 差し出された大きな手
 
 あなたはただ私の瞳をじっと見つめていてくれた
 
 何故か涙がこぼれ落ちた
 もう流れる涙など涸れてしまったと思っていたのに

 涙を拭ってくれた
 ちょっとがさがさでパン粉の匂いがする指

 その日から私はあなたの子どもになった
 あなたが私を見つけてくれた
 あなたが居てくれたから今の私がここにいる
 
 あれからあっと言う間に時は経ってあなたは星の彼方に行ってしまったけれど
 あなたがくれた思い出は私の中で生きている

 あなたが伝えてくれた温もりを私は決して忘れない

 私は雑踏の中で見つけた
 あてどもなく、雨の中を
 素足でもうお腹が空いているのがわからなくなってしまうくらい飢えに襲われながら
 暖炉の火も知らず
 いたわりの言葉さえもかけられたこともなく
 何も確かなものを持つことも無く漂っていただけの君を
 
 じっと君の瞳を見つめた私
 涙がこぼれ落ちた