演説


就任演説(1797.3.4)より抜粋 原文
 独立戦争の間、人々の情熱のお蔭で政府は支えられ、一時的に社会を維持するのに十分な秩序が保たれました。早くから必要性が認識されていた連合規約は、歴史に詳細な記録が残っていて、広く国民が考案したバタヴィア共和国やスイス連邦の規約をモデルにして作られました。しかし、政府の所在地から辺縁まで急使が一日で到達できるような国々と我が国の特徴の顕著な違いを考慮して、大陸議会で連合規約の創案に協力した人の中には、それが長くはもたないということを予見した者もいました。
 連合会議の権威に仮に従っていたとしても、各個人や各邦が連合議会の規定と勧告をすぐに軽視するようになり、各州の間に倦怠、嫉視、そして競合が蔓延し、海運と通商は衰退し、産業も振るわず、土地と産物の価格は下落し、公私ともに信義が軽んじられ、諸外国からの尊敬と信用を失い、さらには不満、敵意、徒党の結成、不公正な取り決め、暴動などいくつかは大きな国家的災厄となる恐れがある暗鬱な結果が生じました。
 この危機においてアメリカ国民は、良識、気高い精神、決意、そして品位を放棄しませんでした。より完全な国家を形成し、公正を実現し、国内に静謐をもたらし、国家全体の防衛を考え、公共の福祉を推進し、自由の恩恵を確かなものとする計画を一致協力して行う方策が練られました。国民の入念な探求、議論、そして深慮が結実して現在の巧緻な合衆国憲法が成立しました。

ジョン・アダムズ大統領歴代アメリカ合衆国大統領研究