演説


第2次就任演説(1813.3.4)より抜粋 原文
 長きにわたって合衆国に戦争―現実には戦争と呼ばれていたわけではないけれども―が仕掛けられるまで、議論と忠告が尽きるまで、戦争を引き起こした不正行為が止むことはないだろうという確実な言明を受け取るまで、また、国の精神を崩壊させることなく、国自体とその政治機構に寄せられた信頼すべてを損なうことなく、そして、不名誉な被害を受け続けるか、さらなる犠牲と厳しい戦いによって、独立国家の間における、我々の失われた威信と尊厳を取り戻すかの瀬戸際で、最後の訴えをもはや遅らせることができなくなるまで合衆国側は宣戦布告しませんでした。
公海上の国家主権とその他の階層の市民の生業と同じく適切な価値を与えるべき生業に就く重要な階層の市民の安全に対する脅威が戦争の事由になっています。そうした脅威に対して何も主張しないことは、すべての国に共通する点において他国と平等であることを諦めることであり、社会のすべての構成員がその庇護を受けるべき神聖な権利を侵害することです。我が国の水夫が、[イギリスの]あらゆる艦船の士官の意のままに、自船から外国の船に移るように強いられた行為の不法性を検討する必要もなく、それと不可分の怒りに言及する必要もないでしょう。我が政府の歴代政権の記録に証拠はありますし、アメリカ市民の一部が受けた甚大な被害は、死者以外のあらゆる者の胸中に人間的な同情を呼び起こすでしょう。
 戦争がその起源において公正であり、必要であり、かつその目的において高潔であれば、我々は戦争を行うにあたって、正義や名誉の原理、文明国の慣習、そして礼節や人間性が命ずるものに違反することはないと我々は誇らしく満足して思うことができます。こうした義務に細心の注意を払い、決して揺るがない公平無私の精神で我々は戦争を行っています。
 残念ながら、それは敵の行いに対してほとんど模範的な行いとして影響を及ぼしていません。
 彼らは、戦争における慣習の下では戦争捕虜とは考えられない合衆国市民を戦争捕虜として拘留しています。
 彼らは、合衆国に思い切って移民し、帰化によって我々の政体の一員となって、第2の祖国の権威の下、その権利と安全を維持するための公然とした名誉ある戦争に従事している者を戦争捕虜として扱わずに、反逆者または脱走者として罰しようと脅迫している。
 彼らは、実際は自ら斧やナイフを取ってはいないが、未開人を残虐な道具で武装させることで無差別殺戮に没頭している。未開人を唆して味方につけて戦闘を行わせ、敗者の血に対する渇望で彼らを満たし、重症を負った無防備な捕虜に拷問と死を与える所業を完遂しようと望んでいます。さらに今まで見られなかったことですが、イギリスの指揮官は、我々の軍隊の挫かれざる勇気に対する勝利を、未開人の殺戮にさらされる捕虜に同情するふりをすることによって掠め取りました。そして、今や我々は、彼らが、我々の政治組織を解体し、連邦共和制を分断するような征服軍の立場を取ることで、名誉ある戦争形態をさらに侮辱していると理解しました。
 幸いにも、他の事例と同じく、こうした行いは張本人に返ってくるでしょう。しかし、彼ら自身が発する堕落した考えに注意を払い、そうした考えに服さなければ、前例のない矛盾の感覚が生じ、解体と暴動を招こうとする敵対者[イギリス]の政策に対する[アメリカの]非難を知ることで[自国の矛盾が分かり]長期間にわたる戦争を行っている[アメリカ]政府から却って恩恵がもたらされるという大いなる驚きが喚起されるかもしれません。
 我々の側の戦争の正義を考えることはより簡明ですが、開戦が不本意であったことは、戦争の進行を食い止めようとする考えを当初、強く表明していたことから明らかです。剣を鞘に収めるに足る条件を敵に告げる前に、剣が鞘から滅多に抜かれることはありません。もっと正確な文句で繰り返せば、国の軍事力に何でも頼ることを禁じる精神を受け入れることです。

ジェームズ・マディソン大統領歴代アメリカ合衆国大統領研究