『フェデラリスト』14篇「広領域連邦に対する反対論の検討」(1787年11月30日)
「共和政国家の自然的限界は、公務の処理に必要なたびごとに、人民の代表が何とか参集できる中心地からの距離ということになる。合衆国の限界は、この距離をこえているといえるだろうか。連邦の最長距離は大西洋岸の側であるが、この一三年間にわたり、各邦代表はほとんど間断なく集会しているし、しかも、連合会議の開催地に近い諸邦の代表よりも、遠隔諸邦の代表のほうが出席率が悪かったためしはないという事実を想起する人びとならば、このようなことはいえないだろう。[中略]。ほとんどどの州も一側面か、それ以上の側面で外国と境界を接する状態にあるから、その安全上、全体防衛のために何らかの犠牲な払うことは止むをえないことはわかっている。ただ、連邦の中心から最も遠く離れた州は、連邦の通常の諸利益にあずかることは当然少ないだろうが、そのことはとりも直さず、直接外国と接触しているということであるから、いざという場合には、連邦の力と資源とを最大限に必要とする状態にある。[中略]。広大な共和国というこの実験が、何か新しいものを含むかもしれないというただそれだけの理由で、なぜ拒否されねばならないのか。アメリカ人は、過去の歴史に現れた意見や他国民の意見にはかなりの考慮を払いつつも、古いもの、習慣、名声に対しては盲目的崇拝にとられることなく、アメリカ人自身の良識による示唆、自分のおかれた状況についての知識、自分の経験から学んだ教訓を無視しないことこそが、アメリカ人の誇りうるものではないのだろうか。この雄々しい精神に対して、後世のアメリカ人は恩恵を受けるだろうし、全世界もまた、私的諸権利と公共の幸福とのため、アメリカという舞台で演じられた数々の新機軸の先例に恩恵を受けることになるだろう(齋藤眞・武則忠見訳)」

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