『フェデラリスト』18篇「古代ギリシア諸同盟の考察」(1787年12月7日)
「古代の連邦の中で、最も考慮に値するものは、隣保同盟会議[神殿同盟]に加盟したギリシア諸共和国の連邦である。この賛美された制度について伝えられている、最もよく記録された史料からみて、この連邦は、現在のアメリカ諸邦の連合に、大いに教訓を与えるような類似性をもっている。[中略]。隣保同盟会議代表たちは、同盟規約に列挙された権限以上の権力を行使している。彼らは、当時における政府維持に重要な原動力のひとつであった迷信にもとづいた習慣を利用していたし、反抗する都市国家に対し、強制力を行使する明文上の権限も有しており、しかも、この権限を必要に応じて行使することを宣誓によって義務づけられていたのである。それにもかかわらず、実際は、この理論とすこぶる違っていた。これらの権限は、現在の[アメリカ]連合会議の権限と同様に、それぞれの都市国家の統治能力において、各都市国家が独自に任命した代表たちによって運用され、しかも、都市国家と同じ統治資格において、これらの権限を各都市国家に対し行使したのである。隣保同盟の弱点、秩序の乱れ、そして、最終的に同盟の崩壊の根源は、ここにあった。強力な都市国家は、[同盟に対する]畏敬と服従とを雜持しつづけないで、その代わりに、他のすべての都市国家に対し、次つぎに専制的支配を行っていった。[中略]。ギリシアの運命についてのある賢明な観察者は、もし、ギリシアがもっと厳密に規定された連邦制によって結合しており、その連合を維持しつづけていれば、けっしてマケドニアの鎖に縛られることはなかっただろうし、ローマの大計画に対しても、それを阻止できたかもしれない、とのべている。いわゆるアカイア連盟は、ギリシアの諸共和国のもうひとつの連邦組織であって、われわれに役立つ教訓を与えてくれる。この連邦体制は、前述の例よりもはるかにいっそう緊密で、その組織もいっそう賢明なものであった。[中略]。アベ・マブリは、彼のギリシアに関する省寮において次のようにのべている。すなわち、民主政治というものは、いずれの場合においても、まことに騒乱の生じやすいのであるが、アカイア共和体制の構成諸国においては、何らの無秩序も生じなかった。その理由は、アカイア体制の下で全体的権力と連盟法とにより、民主政治が調整されていたからである、と (齋藤眞・武則忠見訳)」

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