『フェデラリスト』20篇「ネーデルランド連合の原理と傾向」(1787年12月11日)
「ネーデルランド連合は、諸共和国の連邦というよりは、そのすこぶる顕著な政体からみれば、むしろ貴族政国家の連邦といったほうがふさわしい。しかし、そうであっても、われわれがすでに検討してきた連邦制度に由来する、あらゆる教訓を確認させるものである。[中略]。この連合体の現実上の特徴はどうであろうか。それは、[中央]政府の弱体、州間の不和、外国勢力の影響と軽蔑、平和時の不安定、戦争によるひどい惨禍、といったものである。[中略]。弱い政府組織というものは、適切な権力を欠いているか、公共の安全にとって不可欠な権力の乱用かの理由により、必然的に解消する結果とならざるをえない。いったん権力の乱用が始まると、[権力行使の]有効限界にとどまるか、それとも危険な極限まで突っ走ってしまうかは、一にそのときの状況にかかっている。おそらく専制政治というものは、憲法上の最大限の権力を完全に行使するところから生ずるよりも、非常時局の重圧の下で、不完全な憲法のために要請されることになる権力の僭取から生ずる場合が多いものである。[中略]。われわれが当面している問題について、経験が明白に告げている重要な真理は、諸主権者にまさる一つの主権、諸政府の上位にある一つの政府、個人とは区別されるものとしての諸社会に対する立法というものは、理論的にも言葉の誤用であると同様、それを実施した場合にも、法の代わりに暴力をもってし、行政官による温和で有益な強制の代わりに、破壊的な剣の強制をもってすることによって、市民政治の秩序と諸目的を覆すことになる、ということである(齋藤眞・武則忠見訳)」

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