『フェデラリスト』41篇「連邦政府の権限―軍事権、課税権、通商規制権など」(1788年1月19日)
「中央政府の権限の総量は、本来付与されるべきそれよりも大きいだろうか。これが第一の問題である。選択というものはつねに、たとえ悪がより少ないものでなくても、少なくとも善がいっそう大きいものであれば、完璧な善でなくても選ばなければならないことに気づくにちがいない。また、あらゆる政治制度には、公共の福祉を増進すべき権力が、誤用されたり悪用されたりするかもしれないという自由裁量権が含まれていることに気づくにちがいない。だから,権力を付与する場合、第一に決定すべきことは、その権力が公共の善にとって必要かどうかの問題なのである。この問題に肯定酌判断が下された場合、次になすべきことは、この権力が公共の悪をもたらすような腐敗をきたさないよう、できる限り予防手段を講ずることである。[中略]。外国からの危険に対する保障は、政治社会の根本目的のひとつである。これはアメリカ連邦の正当に認められた不可欠の目的である。この目的な達成するために必要な権限は、連邦議会に有劾に与えられなければならない。[中略]。われわれが、敵対するすべての国家の戦争準備と常備軍とを禁止できない限り、どうして平時におけるある程度の戦争準備を禁止しても安全であることができるだろうか。安全保障の手段は、攻撃の手段と攻撃の危険とによってのみはかることができるのである。安全保障手段は、これからも長く、このルールによって決定されるだろうし、他の手段によることはないだろう。自己保存の衝動に、憲法の障壁で対抗しようとしても無駄である。そうしようとするのは、無駄というよりもいっそう悪い。なぜなら、障壁たらしめようとすることが、憲法そのものに必然的な権力簒奪[の機会]を植えつけることになるからであって、そのあらゆる前例は、不必要な多くの権力纂奪を繰り返す種を蒔くものであることを示している。もし、ある国が野心や復讐に備えて訓練された軍隊をつねに維持しておれば、その軍事行動の範囲にある限り、最も平和的な国家もこれに対応した準備をせざるをえない。[中略]。アメリカ連邦を有効に樹立することに次いで、常備軍からの危険に対する最も可能性の高い予防措置は、常備軍維持に充当される歳費割当期間を限定することである。憲法はこの予防措置を十分に講じている。[中略]。合衆国議員は、二年ごとに人民全体の自由選挙で選ばれ、軍事費支出についての自由裁量権は、はっきりと二年という短期に制約を課せられている(齋藤眞・武則忠見訳)」

歴代アメリカ合衆国大統領研究/歴代アメリカ大統領研究者の成果