ジェファソンによるワシントン評(1814年1月2日付)
「彼の精神は、第一級ではありませんでしたが、偉大で力強いものでした。彼の洞察力は、ニュートンやベーコン、ロックほど正確ではないにしろ鋭いものでした。彼が確かめる限り、分別のない判断はかつてありませんでした。創意工夫にほとんど頼ることなく、行動は遅くても確実に結論に至りました。すべての意見を聞いたうえで、幕僚から士官の共通見解の長所を引き出し、何であれ最善のものを選択しました。戦いをより賢明に計画した将軍はきっと他にいないでしょう。しかし、行動の最中に混乱があった場合、またも突然の状況により計画の一部が乱された場合、彼はゆっくりとしか再調整できませんでした。その結果、彼は度々戦場で敗れ、ボストンやヨークのように留まっている敵に相対したことはあまりありませんでした。彼は恐怖を顧慮することなく、沈着冷静で自分の危険に全く無関心でした。彼の性格の中で最も強い特徴は、慎重さでしょう。すべての状況、すべての考慮をじっくり検討するまで決して行動しませんでした。もし1つでも疑いがあれば行動を控えましたが、一旦決すれば、どんな障害があろうとも目的を貫徹しました。彼の高潔さは最も純粋で、彼の正義は私が知る限り最も揺るぎ難いものでした。いかなる私利も縁故も友人関係も彼の決定を歪める動機とはなり得ませんでした。彼は真にあらゆる意味で賢明で善良、かつ偉大な人物でした。彼はもともと激しい気性でしたが、熟慮と決意がそれをしっかりと習慣的に抑えていました。しかし、箍が一旦外れてしまうと、彼は激しい憤りを見せました。お金に関しては高潔でしたが、正確には何であれ役に立つものには費用を惜しまず、非現実的な計画や思いやりに値しないことに対してお金を出すことに難色を示し、譲歩することはありませんでした。親愛の情に関して彼の心は温かくはありませんでしたが、緻密にあらゆる人物の価値を計算し、その価値に値する確かな評価を与えました。彼の体格は、ご存知の通り、立派でした。姿勢はまさに諸人が[そうありたいと]望むものであり、立ち居振る舞いは気安く、高揚としていて高貴でした。当代随一の騎手であり、その騎乗姿は最も優美なものでした。遠慮がなく全く何事も起こらないような友達の間では、彼は会話に自由に加わりました。豊富な発想や流暢な言葉はないにしろ彼の会話能力は非凡でした。公の場で突然、意見を求められた時、彼は機敏ではなく、素っ気無く、困惑することもありました。けれども彼は気軽に、むしろ冗長に、平明で正しい文体で書きました。これは彼が耳学問で得たものでしょう。というのは彼の教育は単に読み書きと算数、それと後に測量を学んだだけだからです。彼の時間は主に行動に費やされ、読むことはまれであり、それも農業とイギリスの歴史に限られました。彼の書簡は必然的に莫大なものだと思われますし、屋内で過ごす余暇の時間の大半を農事録をつけることに費やしていました。全体的に彼の性格は、その大半において完全であり、悪い点はなく、平凡な点はほとんどありませんでした。ワシントンを偉大にし、永遠に記憶に留められる価値を持つ同類の人々の中に彼を置くように比類なく自然と運命が合致したと心から言えます。というのは彼は、独立のために祖国の軍を率いて困難な戦いをくぐり抜るという並外れた宿命と業績を持ったからです。また政府が誕生して暫くの間、それが静穏と秩序を保って定着するまで祖国の議会を導き、その形式と原則を新たにしました。さらに彼の職歴すべてを通して、市民としても軍人としても法を厳格に遵守しましたが、それは世界の歴史の中でも類を見ないことです」

歴代アメリカ合衆国大統領研究/歴代アメリカ大統領研究者の成果