アダムズの自伝1
「1775年9月。約束の日時に私はフィラデルフィアに戻り、大陸会議が再召集された。リチャード・ペン氏がイギリスに向けて出航し、ディキンソン氏と彼の仲間が救済になると期待している請願書を携えて行った。私は何も期待せず、軍の支援とカナダ遠征に関する方策に完全に没頭していた。あらゆる重要な方策が反対にあったが、かろうじて過半数を得て実行に移された。そのため私はほとんど絶え間なく議論に参加しなければならなかった。しかし、なされたことすべてに満足しているわけではなかったし、ほぼ毎日、私は諸植民地に政府設立について何らかの助言を行い、請願、もしくは和解的な方策と呼ばれているものからは何も良い結果は望めそうにもないという私の思いを伝えなければならなかった。私は、そのような方策はすべて、和解を生み出す傾向を持つどころか、我々が拠って立つべき自信の欠如や我々が臆病であることの証と見なされるだけであり、敵を勇気付け我々に対して厳しくあたるようにするだけだと絶えず主張した。また我々は我々自身が独立国家であることを宣言する必要があり、我々は今や諸植民地を連合させる案を準備するべきであり、諸外国、特にフランスとスペインに条約を提示するべきである。こうしたすべての方策は、独立宣言とともに熟考しなければならないし、慎重に準備しなければならない。こうした3つの方策、すなわち独立、連合、そして諸外国、特にフランスとの交渉は、緊密に連携させて行なうべきであり、すべて一緒に採用しなければならない。我々が我々自身を認めるまで、そして、諸外国の間で我々が主権国家および独立国家として立場を固めるまで、諸外国が我々を認めることは期待できないだろう。今、我々は大砲、武器、弾薬、衣服、そして火打石の不足に悩まされている。人民には彼らの産品を売る市場がなく、外国との通商のみが完全に供給し得る衣服やその他の多くの物が不足している。そして、我々が独立するまで通商は期待することができない。人民は素晴らしい団結を示し、非常に勇敢である。もし我々が人民の熱意を抑制したり冷ましたりしなければ、人民から我々が求めている支援を得るにおいて何ら危ういことはない。我々が国を守る能力、戦争を支える能力、そして我々の独立を維持する能力について何ら疑問はない。我々は十分な人員を保ち、我が人民は勇敢であり、日々、戦争の遂行と統制は改善している。即座に我々は、我々の商人達に私掠船を艤装し、敵に抵抗させるべきである。大陸会議は、船を武装し、士官を任命し、海軍の基礎を築くべきである。こうした機転から大きな利点が生じるだろう。豊富な西インド諸島の産品だけではなくすべての種類のイギリスの工業製品、さらに弾薬やあらゆる種類の軍需品が手に入るだろう。全会一致で採択され、決意を持って追求されるべき、こうした方策に基づく仕組みによって、我々は確実にフランスの友誼と支援を得ることができるだろう。フランスの見解について何人かの代表が疑問を呈した。フランスは我々を反逆者と見なして眉をひそめるのではないか。そうした反逆者を支持することを忌避するのではないか。私はそうした代表達に、彼らがフランスとイギリスの関係に注意を向けていないことを危惧すると答えた。大陸にあるイギリス植民地が独立することがフランスの利益になることは間違いない。イギリスはカナダ征服と先の戦いにおける海軍の勝利によって、またアメリカと西インド諸島における広大な所領によって、勢力の絶頂を謳歌し、それはフランスが妬み、耐えざるものとなっている。しかし、誇りと妬み以上のものについても言及できる。フランスの地位、ヨーロッパにおける思惑、そしてフランスの安全と独立さえも危機に瀕している。イギリス海軍は今や世界中の海の女王である。フランス海軍はほとんど絶滅に瀕している。フランスの劣勢は甚だしく明白であり、東インド諸島と西インド諸島におけるフランスの全所領は、イギリスのほしいままにされ、北アメリカがイギリスに属する限り、そうあり続けるだろうし、あらゆる種類の海軍軍需品が満載された多くの港によってそれが可能となるし、多くの兵士と水夫が支援することができ、船員を配備することができる。利害は嘘をつくことがない。フランスの利害は明らかであり、その動機には非常に説得力がある。議会の無分別な判断以外に、フランスが我々と組むのを妨げるものはない。しかしながら、フランスとの交渉は非常に慎重、かつ我々が得られる限りのすべての予見をともなって行なわなければならない。我々は、将来、ヨーロッパでの戦争に巻き込まれるような同盟をフランスと結ぶべきではない。我々は、それを決して忘れてはならない原理と原則として定めるべきであり、ヨーロッパで将来起こり得るすべての戦争において完全な中立を維持しなければならない。イギリスを破滅させるために、もしくはあらゆる方策でイギリスの精神を砕くために、またはイギリスが独立を支えることができない状況に追い込むためにフランスと結ぶのは我々の利益ではない。一方で、フランスを辱めるためにイギリスと結ぶことは決して我々の務めではない。名目ではなく我々の本当の独立は、我々の中立の上に成り立つ。将来の戦争で、もし我々がどちらかの国と結べば、我々はその国に従属しなければならず、これまでのようにヨーロッパの戦争に巻き込まれる。諸外国は、我が人民を買収し、我が議会に影響力を及ぼす手段を見出し、遂には我々をヨーロッパの内閣が糸を操るままに踊る傀儡とするだろう。我々はヨーロッパの揉め事や政局の玩弄物ではない。したがって、諸外国に提案する条約を準備するにあたっては、そして、公使に指示を与えるにあたっては、我々は厳密に通商条約に限るべきです。我々がフランスから欲するすべての支援に対して、そのような条約で十分な補償となるでしょう。アメリカの通商をフランスに開くことは、フランスの通商と海軍力にとって大きな資産になり、東インド諸島と西インド諸島の所領や漁場を守る大きな助けとなる。イギリス帝国の分断は、計り知れない安全と利益をフランスにもたらす。たとえ、フランスがさらに8年か10年の戦争に引きずり込まれたとしても、それは我々がフランスに求めるすべての労苦よりも価値がある。こうした見解を大陸会議で私が述べるまで、会議やその他にこれほど大きな感銘を与えたのを私は見たことがなかった。注目と賞賛が全員の顔に表れていた」

歴代アメリカ合衆国大統領研究/歴代アメリカ大統領研究者の成果