アメリカ大統領の椅子を狙った初めての女性は誰?


 実はそれは話題のヒラリー・R・クリントンではない。1872年に立候補したビクトリア・C・ウッドハルという婦人参政権運動家が女性初の大統領候補だと言われている。またウッドハルと共にフレデリック・ダグラスが副大統領候補に選ばれたが、このダグラスはアフリカ系アメリカ人初の副大統領候補である。ダグラスは、南北戦争前、奴隷制度反対論者として知られ、戦後はハイチ公使に任命された人物である。
 ウッドハルとダグラスは、平等権利党という第3政党の指名を得ているので全く根拠のない立候補ではなかった。しかし、歴史家の中ではウッドハルの立候補の正当性を疑問視する者が多い。まずウッドハルが立候補した時の年齢である。ウッドハルが大統領候補になったのは33歳の時である。合衆国憲法の規定によると、ウッドハルが他の要件を満たしたとしても、35歳に達しない者は大統領にはなれない。任期は選挙の翌年から始まるとはいえ、それでも法定年齢に足りない。ちなみに2大政党の大統領候補の中で最年少候補はウィリアム・J・ブライアンである。1896年に出馬したブライアンは、その時、弱冠36歳であった。もしブライアンが勝利していたら当然、史上最年少の大統領になっていたはずである。
 またこの当時、アメリカでは女性に投票権すらなかった。同じ年に投票を強行しようとした婦人参政権運動家が逮捕されている。その運動家は100ドルの罰金を払うのを拒否したため投獄された。女性にも投票権が認められるのは1920年以後である。
 ウッドハルは大統領候補として指名は受けたが、女性票が全く見込めず、どう頑張っても女性初の大統領にはなることはできなかった。結局、大統領選はウリセス・S・グラントが制した。

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