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アメリカ歴代大統領研究ポータル

最期の言葉

全裸でインタビューを受けた大統領

 ジョン・クインジー・アダムズ大統領の長年の習慣は全裸で川を泳ぐことだった。悪天候でなければ毎朝、ポトマック川を泳いでいたという。記録によると最後に川で泳いだのが79歳というから恐れ入る。
 アメリカ史上初の女性ジャーナリストであるアン・ロイアルは、アダムズに何度も何度もインタビューを申し込んだがその度に断られた。ロイアルはアダムズより記事をとるために一計を案じた。
 朝五時にアダムズを尾行してポトマック川にやってきたロイアルは、川岸に脱ぎ捨てられたアダムズの衣類を手早く集め、その上に座り込んだ。そして、大統領にインタビューに応じるまでは服の上から動かないと伝えた。アダムズはなす術もなく全裸で冷たい川の水の中につかったままでロイオールのインタビューに応じた。

「私はアン・ロイアルです。銀行問題について大統領にインタビューしようと、何ヶ月もチャンスを狙っていました。ホワイトハウスの玄関で中に入れてもらおうとしましたが、入れてもらえませんでした。ですから、あなたの行動を観察していたんです。今朝、官邸を出ていらっしゃるのが見えましたので・・・・・・。私は今大統領の服の上に座っています。インタビューに応じて下さるまでお返ししません。応じて下さいますか?それとも、そのままずっと水の中にいるおつもりですか(吉野寿子訳)」

 こうしてロイアルは、アダムズに水の中に入ったままでインタビューを受けさせ、史上初めて大統領にインタビューした女性となった。一方、アダムズは全裸でインタビューを受けた初めてにして唯一の大統領になった。
 また泳いでいる最中に服を盗まれてしまい、通りがかりの少年にホワイトハウスまで代わりの服を取りに行くようにお願いしたこともあった。懲りない大統領である。