昭和天皇の日常および研究生活
 昭和天皇が「科学者天皇」としての側面も備えておられたことはよく知られている。吹上御苑の一角には専用の御研究所まである。昭和天皇の御専門は生物学で、特に腔腸動物の研究に関しては九冊の御著作があり世界的な評価を受けている。全国巡幸の途中でも、休養日には各所で生物標本の採集に勤しまれた。生物学を専門分野にしたのは、もちろんそれに興味があったのは当然ながら、一般の研究者と競合することで迷惑をかけないですむ分野であったという理由もあったという。  

 ただこうした研究は昭和天皇の本来のお勤めではない。天皇のお勤めは、年間数千件に及ぶ文書に目を通され、宮中の儀式を執り行われ、国賓を迎接され、さらに地方での様々な催し物に足を運ばれるという多岐にわたるもので、この合間を縫ってこれだけの研究業績を残されたことには驚きを隠せない。
 
 また昭和天皇は日課として多くの新聞をご覧になっていたことが知られている。毎日お目にとまった書評や書籍名をノートに付けられ、折にふれて書籍の購入を「これこれの本が読みたいが…」というようにたとえ一冊の書籍でもいちいち侍従に御相談になったという。それは昭和天皇が質素を旨とされていたからである。昭和天皇が、質素を旨とされていたことは、お食事に関しても顕著であり、国民の食糧事情の悪化を気にかけられ「私のパンだけ白いのは困る。国民の配給のと同じにしてくれ」と大膳課に指示されている。昭和天皇は、国民と同じくすいとんや芋、混ぜもの入りのパンをお召し上がりになったという。

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