明日は我が身とはよく言ったもの


 大統領の言葉は何でも記録に残されているもので、当然、他の大統領に対してどのような評価をしたか分かっている。中でもかわいそうなのがリチャード・M・ニクソンだろう。
 ニクソンはスタインウェイのピアノをハリー・S・トルーマンに贈り、「[ホワイトハウスで]最も優れたピアニスト」と褒めている。しかし、ニクソンは、トルーマンから「奴は完全な嘘つきだ。嘘を付いていることも分かっていないだろう」と酷評されている。
 他にもトルーマンは第14代大統領フランクリン・ピアースを「ホワイトハウスでは最もかっこいい大統領だったが、大統領としてはブキャナンとクーリッジ[のように全く評価されていない大統領]と同じようなものだ」と酷評している。
 悪事千里を走るというわけではあるまいが、どうやら酷評のほうが多いような気がする。第25代大統領ウィリアム・マッキンリーは後に自分の副大統領になるセオドア・ローズヴェルトを「エクレアほどの背骨も持っていない」とこきおろした。同じようにウリセス・S・グラントは「[第20代大統領]ガーフィールドは、ミミズの背骨さえも持っていないようだ」と言っている。
 第30代大統領カルヴィン・クーリッジは、同じ共和党の第31代大統領ハーバート・C・フーヴァーを「奴は過去六年間、うんざりするような助言を私にしてくれたが、全部駄目だった」と罵倒している。
 第6代大統領ジョン・クインシー・アダムズは、政敵であった第7代大統領アンドリュー・ジャクソンの死に際して、ジャクソンは「英雄、殺人者、姦夫」であったと述べている。「英雄」というのは数々の戦争で名を上げたからで、「殺人者」というのは決闘で相手を殺したことがあったからであり、そして「姦夫」というのは妻レイチェルの離婚が成立しないままに結婚したからである。もしジャクソンの生前であればアダムズは無事ではすまなかっただろう。なにしろジャクソンは第3代大統領トマス・ジェファソンに「彼の情熱は恐ろしい。彼は危険な男だ」と評価されるほどであった。
 第26代大統領セオドア・ローズヴェルトなどは、第23代大統領ベンジャミン・ハリソンを「最悪の大統領。冷血で心が狭く、偏見で凝り固まっていて、頑固で、臆病な年寄りの賛歌を歌っているインディアナポリスの政治家」とまで言っている。自分も後の世に何と言われるかを考えればここまで酷いことはなかなか言えないような気がする。

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