未来の大統領


 少年の頃、ワシントンを訪れたビル・クリントンはジョン・F・ケネディ大統領と握手している。それがクリントンの政治家を目指すようになったきっかけとなったという。それから30年経ってクリントンはケネディと同じ民主党の大統領となった。もしケネディと出会っていなかったら、クリントンは大統領になっていなかったかもしれない。たまたま握手をした1人の少年が、将来、自分と同じように大統領になるとはケネディには夢にも思わなかっただろう。
 ケネディと同じく、他にも未来の大統領と出会っている大統領がいる。第22代大統領グロヴァー・クリーヴランドである。未来の大統領は当時5歳のフランクリン・D・ローズヴェルトだった。執務に疲れ果てていたクリーヴランド大統領は、父ジェームズのお伴でやってきたローズヴェルト少年に「坊や、一つ君のために祈るよ。君が大統領に決してならずにすむようにね」と言った。クリーヴランドの祈りも虚しく、ローズヴェルト少年は46年後に第32代大統領になってしまった。
 また第31代大統領ハーバート・C・フーヴァーは、学生の頃、野球の試合を見に来たベンジャミン・ハリソン元大統領に出会っている。入場料の管理をしていたフーヴァーは、ハリソンに近付き25セントの入場料を支払うように求めた。ハリソンはすぐに料金を払っただけでなく、さらに次の週の試合の前売り券を3枚もフーヴァーから購入した。フーヴァーは、偉い政治家との初めての出会いだったと後に語っている。
 未来の大統領との出会いということになると、親子どうしでも「出会い」と言えるのかもしれない。ブッシュ親子は言うまでもないが、親子で大統領となっているのはもう1例ある。第2代大統領ジョン・アダムズと第6代大統領になったジョン・クインシー・アダムズである。隣同士で葬られている大統領はこのアダムズ親子だけである。親子で大統領となったのはブッシュ親子とアダムズ親子の2組しかないが、祖父と孫で大統領になったケースがある。第9代大統領ウィリアム・H・ハリソンと第23代大統領ベンジャミン・ハリソンである。
 ちなみに第26代大統領セオドア・ローズヴェルトとフランクリン・D・ローズヴェルトは親子と間違われることもあるが遠縁の関係である。そしてフランクリン・D・ローズヴェルトの妻エレノア・ローズヴェルトはセオドア・ローズヴェルトの姪にあたる。大統領どうしの類縁関係として他に知られているのは、第10代大統領ジョン・タイラーが第33代大統領ハリー・S・トルーマンの大叔父にあたるケースがある。また第4代大統領ジェームズ・マディソンと第12代大統領ザカリー・テイラーは又従兄弟どうしである。さらにテイラーの娘サラは、後に南部連合の初代大統領となったジェファーソン・デーヴィスと結婚している。

歴代アメリカ合衆国大統領のトリビア歴代アメリカ合衆国大統領研究